2019年版SIer年収ランキング|SIerが年収をアップさせるポイントについても解説

Slerとは?
Slerとは、システムインテグレーションを担う企業のことです。具体的には、企業のシステム構築を一貫して請負い、提供します。ここではSlerについて、実際の仕事内容や求められるスキルを解説します。
SIerの仕事内容
Slerは、クライアントから受けたシステム構築を全て請け負い、一括して提供します。具体的に、Slerのシステム構築の工程は次の流れです。
- 企画・戦略の立案
- 要件定義
- 設計
- 開発
- テスト
- 納品
- 運用・保守
クライアントに対して要件提示、仕様書・プログラムの記述までを担うIT企業や、それ以降を構築するSEとは異なり、全ての工程を進めていきます。
システム構築を進める際は、これらの業務を大きく4つの区分に分けて考えます。
「企画・戦略の立案」「要件定義」「設計・開発・テスト・納品」「運用・保守」の4区分です。
ただしSlerによって、全ての区分を一括して進める場合と、一部の区分のみ対応する場合と、案件によってさまざまです。
SIerの種類
Slerは、大きく次の3種類に分類できます。それぞれ系統によって特徴があるので、1つずつ解説します。
- メーカー系
- ユーザー系
- 独立系
メーカー系
メーカー系は、コンピュータのハードウェアを生産する製造メーカーの、情報システム部門が独立してできた企業です。
仕事は、独立した親会社やその子会社から発注を受け進めていきます。その他、親会社の顧客からも受注し、対応するケースもあります。
基本的に、親会社が経営不振にならない限り安定した需要が確保できるため、安心して業務に専念できます。
ユーザー系
ユーザー系とは、大企業の情報システム部門が独立してできた企業です。具体的に、独立した親会社からの仕事を請け負うほか、他社からの発注も積極的に受注します
親会社の案件に依存することなく、特定の業種問わずにさまざまな案件を請負い、幅広い知識やノウハウを蓄積できます。
独立系
独立系とは、親会社が存在せず自己資本により設立された企業です。独立系企業の子会社企業も、独立系に属します。
仕事内容は、メーカーやSIer企業からの下請け受注がメインです。独立系は親会社のしがらみがないぶん、独自システムを構築できます。
これにより、クライアントの要求に則した優位性の高いサービスを提供できます。
その他
その他のSlerとして、外資系Slerやコンサル系Slerがあります。外資系Slerは、海外の企業から資本を受けて設立された企業を指します。
業務内容は国際的な案件が主になり、世界中のクライアントを相手にプロジェクトを進めていきます。そのため、グローバル展開する企業が多数です。
コンサル系Slerは、システム構築にあたりクライアントの現状を理解し、経営戦略に合った提案を推し進める企業です。
具体的には、IT技術を活かしたコスト削減や、システム導入を提案します。コンサル系Slerでは、システム開発がメインでない分クライアントが納得するシステムの提案力が求められます。
大手SIerランキング
大手Slerの平均年収ランキングは次の通りです。
- 株式会社野村総合研究所 1,121万円
- 株式会社三菱総合研究所 941万円
- 株式会社日本総合研究所 825万円
- 新日鉄住金ソリューションズ株式会社 814万円
- 株式会社大塚商会 812万円
- 東芝ソリューション株式会社 806万円
- 株式会社NTTデータ 795万円
- 株式会社オービック 795万円
- 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 765万円
- 日本ビジネスコンピューター株式会社 744万円
主なメーカー系SIerの年収
主なメーカー系Sler企業の平均年収は、他の系統と比較して高い傾向にあります。
これは、メーカー系の親会社がハードウェアを販売していることが1つの理由です。
主なメーカー系Slerの平均年収は、次の通りです。
- 東芝ソリューション株式会社 806万円
- 日本ビジネスコンピューター株式会社 744万円
- 富士通マーケティング株式会社 731万円
- 株式会社日立システムズ 711万円
- 株式会社日立ソリューションズ 696万円
主なユーザー系SIerの年収
ユーザー系Sler企業の平均年収についても、高い水準で推移しています。
特に高い平均年収のSler企業の場合、メーカー系の高額水準を超える企業もあります。
主なユーザー系Slerの平均年収は以下の通りです。
- 株式会社野村総合研究所 1,121万円
- 株式会社三菱総合研究所 941万円
- 株式会社日本総合研究所 825万円
- 新日鉄住金ソリューションズ株式会社 814万円
- 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 765万円
主な独立系SIerの年収
独立系Sler企業の平均年収は、他のメーカー系やユーザー系と比較して全体的に低めです。
ただし、中には、平均年収800万以上の企業もあり、決して低い訳ではありません。
主な独立系Slerの平均年収は次の通りです。
- 株式会社大塚商会 812万円
- 株式会社NTTデータ 795万円
- 株式会社オービック 795万円
- 株式会社シーエーシー 710万円
- 株式会社NSD 604万円
SIerが年収を上げる方法
Slerから年収を上げるには、次の3つの方法があります。
- 転職をする
- フリーランスになる
- 副業をする
それぞれ年収を上げる方法が異なるので、1つずつ解説します。
転職する
Slerから年収を上げる方法の1つに、転職があります。Slerからの転職であれば、一貫してシステムを構築してきた経験を評価され、同業他社に限らず選択肢が多数存在します。
具体的に、次のような業種です。
- IT企業
- 非IT企業
- 社内SE
特に、独立系やメーカー系などで多くの経験を積まれてきた場合、発注元から引き抜かれる場合もあります。
フリーランスになる
Slerからフリーランスへの転向は、収入が確実に上がります。受注した案件の全ての利益が手元に入ってくるからです。
大手のSlerに勤務し経験を積んてきた場合、月収200万円という高額案件を受注できることもあります。
ただし、フリーランスになるということは次のような注意点もあります。
- 福利厚生や退職金といった制度が全くなくなる
- 案件の受注がなくなれば、失業と同様の状態になる
このようにリスクもあるため、慎重に検討すべきです。
副業をする
Slerとして本業を続けつつ、副業として年収を上げる方法があります。
クラウドソーシングなどのサービスを利用し、週末や平日の仕事後に副業します。案件内容は、Webサイトの作成依頼やアプリケーションの開発などさまざまです。
なかには、日々の本業の経験を活かし副業をするケースもあります。たとえば、プログラミングスクールの講師に就くことです。
空いた時間を利用し、教室でプログラミングの知識や技術を教えます。副業でも、Slerを本業とした技術や経験を活かした案件はたくさん存在します。
大手SIerの平均年収は高め
今回解説した通り、大手Slerの平均年収は高い傾向にあります。しかし、大手Slerだからといって全ての企業の平均年収が高いという訳ではありません。
大手Slerでも、需要と供給のバランスがとれた収益力が高い企業であることが大切です。特に国内では、証券、保険、銀行、金融機関といった分野が、それにあたります。
また、系統でみるとメーカー系やユーザー系の平均年収が高い水準を推移していることも分かります。従って、大手Slerで平均年収を見ていく場合、分野や系統も確認が必要です。