ERPパッケージとは?機能や導入メリット、基幹システムとの違いについて解説

ERPパッケージについて解説
ERPパッケージとは何なのか、という基本を知らないと、導入の話を持ち出しても説得力に欠けてしまいます。そのため、まずはERPパッケージ基本や具体的な機能について解説します。
ERPパッケージとは?
ERPとは、「Enterprise Resource Planning」の略称で、複数の業務システムを一元管理し効率的に業務を遂行するという考え方です。ERPパッケージとは、ERPの概念にもとづき、企業の業務システムを統合的に管理するためのソフトウェア群のことです。
ERPの具体的な機能
ERPの具体的な機能として、次の6つが挙げられます。
- 生産管理
- 会計管理
- 販売管理
- 調達、在庫管理
- 資産管理
- 債権、債務管理
企業として必要不可欠なのは「会計管理」「資産管理」そして「生産管理」でしょう。その他の項目は、業種ごとに必要なものが大きく異なります。たとえば「債権、債務管理」のモジュールは、債権や債務を取り扱っている場合に必要ですが、その必要性がない業種では、あえてERPの機能を使わないこともできます。
できることは多いですが、必要がない機能もあるため「あえて使わない」選択肢をとることで、ERPパッケージをより効率良く運用できます。
基幹システムとERP
基幹システムとERPには決定的な違いがあります。また、ERPに乗り換えた際のメリットも把握しておくと便利です。
基幹システムとERPの違い
基幹システムとERPの違いを簡単に表すと、「リアルタイム性の有無」と「一元管理の有無」でしょう。
ERPでは、先に挙げた6つの機能をリアルタイムで見られますが、基幹システムでは見られません。また、基幹システムではそれらの機能を一元管理することもできません。つまり、ERPは基幹システムの上位互換とも言えるシステムであり、基幹システムで多数の業務を運用しているなら、ERPを利用したほうが後述するようなメリットも享受できます。
基幹システムからERPに換えたときのメリット
基幹システムからERPに変えた際のメリットとして、次の3点が挙げられます。
- 業務の効率化
- 経営状態の可視化
- コストや管理工程の最適化
そもそも基幹システムでは、それぞれのモジュールが独立して動いているため、一元管理ができません。それゆえ業務が非効率であり、管理工程も増えてしまいます。
しかし、一元管理できるERPに乗り換えれば、「業務の効率化」や「管理工程の最適化」を見込めます。また、管理工程が最適化されるので、業務にあたる人件費もシステムの運用費も削減できる見込みが出てきます。それゆえ、コストの最適化につながります。
そのほかERPの特徴として、バッチ処理をおこない遅れてデータを可視化するのではなく、「リアルタイムで経営状態を可視化できる」というメリットも享受できます。
ERPパッケージの導入形態
ERPパッケージには2種類あり、オンプレミス型とクラウド型があります。オンプレミス型とクラウド型、それぞれどのような特徴があるのか解説します。
オンプレミス型
オンプレミス型のERPパッケージは、社内にERPを稼働させるサーバーを置き、自社内のみでデータを管理するタイプです。つまり、社内LANで接続することはできますが、外部のインターネットからは隔絶されているタイプのものがオンプレミス型と呼ばれます。
データを自社内のみで管理し、外部のインターネットから隔絶して管理しているためデータの流出も起こりにくく強固なセキュリティを持っているのがオンプレミス型のメリットですが、サーバーの維持費や管理費、サーバールームの設置など、コストやスペースが必要というデメリットがあります。
クラウド型
クラウド型のERPパッケージは、社外のクラウドサーバーにERPパッケージを展開させ利用するタイプです。つまり、オンプレミス型で必要だった自社サーバーが、外部にあることになります。
ERPに限らずクラウドサービスはシェアを拡大させていますが、クラウド型のERPを使うメリットとデメリットはオンプレミス型と正反対です。メリットは運用コスト削減を見込めること、デメリットはセキュリティが脆弱になることです。
コストとセキュリティをてんびんにかけ、どちらを重視するかによりオンプレミス型かクラウド型か変わってきます。
世界でシェア率の高い主要ERPパッケージを紹介
世界でもシェア率の高い、グローバルスタンダードとも言えるERPパッケージを3つ紹介します。
SAP R/3
ERPの中でも業界大手であるSAP社が開発したのが、SAP R/3です。ただし現在は後継のSAP S/4HANAが販売されたため、今から導入する場合には手にすることのない製品です。
SAP R/3をベースにしているERP製品も多く、「ERPと言えばSAP社」というほど大手であるため、導入や操作につまずくケースは少なく、たとえつまずいてしまっても、自社まで来てサポートしてくれます。
Oracle ERP Cloud
Oracle ERP Cloudはクラウド型のERPパッケージで、Oracle社が開発したものです。クラウド型のパッケージであるため、オンプレミス型で考えている場合は、利用できません。
Oracle ERP Cloudの特徴として、各モジュールを「すべて」購入する必要がない点が挙げられるでしょう。企業内で使うことがないモジュールが多数含まれ高額化していると、それだけ導入コストが上がってしまいます。その点、Oracle ERP Cloudでは、使いたい機能を選んで購入できることから、必要最低限のコストで始められ、かつ必要となれば追加のモジュールを購入して運用できます。
Microsoft Dynamics 365
Microsoft Dynamics 365は、Microsoft社が開発したERPパッケージです。Microsoftのソフトウェアを使っていない企業はないと言えるほど、なじみのある企業でしょう。特にOffice 365との連携に秀でており、Excelへの出力も簡単にできます。
簡単に使え、使い慣れているOfficeとの連携を重視するのであれば、クラウド型ERPではありますがMicrosoft Dynamics 365はよくできているERPパッケージです。
ERPパッケージの徹底活用で業務効率化を
ERPパッケージは導入しただけでは意味がありません。各ERPパッケージの特徴を理解し、正しく運用してこそ業務効率化に繋がります。もし基幹システムを利用しており、ERPパッケージに興味が湧いたのであれば、ERPに切り替えることを想定して導入の予定を立てていくと、スムーズに切り替えが可能になるでしょう。
活用してこそのERPパッケージです。業務効率化をする上で、自社では何が必要かを再確認しながら導入製品を選択すると、コストパフォーマンスがよくなります。